イコライザー アメリカ映画 2014年
監督:アントン・フークア
<キャスト>(声優)
ロバート・マッコール:デンゼル・ワシントン(大塚 明夫)
テリー:クロエ・グレース・モレッツ(潘 めぐみ)
テディ:マートン・ソーカス(山路 和弘)
イコライザー
Sony Pictures 公式映画チャンネルより
イコライザーあらすじ&内容
ホームセンターで働くマッコールは、仕事ぶりや穏やかな人柄により仲間にも好かれているが、過去の経歴を聞かれても、はぐらかして誰にも語らない。
不眠症の彼は、深夜になると24時間営業のダイナーに出かけて本を読むことを習慣にしているが、ある夜から、ロシア系の女の子と本について他愛ない会話をするようになる。
そんな夜が続き、頑なだった彼女から夢の話を聞くなどして打ち解けていったふたりだったが、ある出来事の後、彼女がロシアン・マフィアから酷い仕打ちを受け、集中治療室に入れられるほどの怪我を負ったことを知る。
詳細を知ったマッコールは、過去の封印を解いて、「仕事」を遂行することに決めたーーー。
イコライザー 感想
この作品のキャッチコピーがとってもカッコいいんですよね!
19秒で世の中の悪を完全抹消する。
守るべきは少女の“夢”、正すべきは世の“不正”
震えます・・・(∩ˊᵕˋ∩)・*
この映画の魅力は、まずは「勧善懲悪」と「圧倒的強さ」です。
勧善懲悪
「勧善懲悪」というと、ここ数年の世の中ではなかなか描かれない気がしていて、この作品はいつ作られたんだろうと見てみたら、2014年でした。そこまで古くはありませんが、たしかにそのくらいまではまだ、世の中はここまで混沌としてはいなかったかも・・・と思いました。
それはさておき、この映画の「勧善懲悪」の描き方は、レビューにもある通り、「日本の時代劇のような」ものです。
つまり、「悪」は「悪」であり、そこに同情や交渉の余地はなく、必ず滅すべきもの。
対するマッコールは「完璧な白」として仕事を遂行するのみ・・・!
これがもう、すっごく小気味よく感じるポイントの一つなんです。
多くの新しめの物語において、主人公は「リアリティ」の名の下に、ちょっとした(大それたものもある!)悪を内包していることが多いように感じます。「人間だから仕方ないよね」と言わんばかりに、それをやったら「現実には」他の多くの弱者が被害を被るだろうと思えるようなことをしたり。(私はこういう時毎回、それが人間なら私は人間じゃない!と憤怒に燃えるのであった・・・)
でも、マッコールは違います。
自分が関わった声を上げることができない者のために、封印した過去を解き放って、さしあたっての問題を解決するばかりでなく、根本まで遡って因縁を絶っていく。
しかも、助けた相手にそれを知られることもなく、ただこっそりと、しかし厳密に正しいことを行うだけなのです。
「正しさ」は相対的なもの、という観念がつきまといますが、それじゃあ一体、マッコールの行う「正しさ」を否定できるのは、誰でしょうか。
犯罪者だけだと思うのですが、どうでしょうか。
弱いものを虐げ、強制的に言うことを聞かせて、死ぬまで甘い汁を吸う輩。
マッコールだって、静かに生きると決めていたはずです。でも、辛い境遇の中でも自分の言葉を聞いて、夢のかけらを見せてくれた女の子があんな目にあい、そしてそれをどうにかする力が自分にあると分かっているなら・・・。
そこで封印が解かれるマッコールの力、その「圧倒的強さ」です。
もうこれがはちゃめちゃ過ぎて、爽快すぎて、痺れました・・・!
圧倒的強さ
女の子たちを仕切っている組織のボスは、映画の最初の方であっという間にマッコールにやられてしまうのですが、そのシーンは本当に最高です。
最初にお金を渡して交渉しようとするマッコールですが、ボスは馬鹿にしたように煽り言葉を連ね、彼を追い返そうとします。
静かに・・・デスク上のドクロのオブジェを、部屋の中の輩たちに向けてセットし直し、背を向けるマッコール。
ドアを数回開閉。そしてロックをかける。
振り向いたその目にはスローモーションのように事物が映り、輩たちの位置や得物の種類、部屋の中のものまでも瞬時に把握します。
そして「16秒」と呟き、腕時計のタイマーを開始する・・・。
この戦い方、クールすぎる!!!!
相手の持っているものを利用して攻撃し、部屋の中の日用品も活用するのです。部屋にあったスクリューワインオープナーなんかも使ったりしてすごくいい!(残酷だけど!)
もちろん動き自体がシャープで無駄がなく、昔の日本の剣豪のように俊敏で、「目にも止まらぬ速さ」で殺しを遂行していきます。
あっという間に部屋中の輩を倒し、デスクの横に倒れているボスに静か〜に語りかける姿も最高・・・。
もう、好き・・・デンゼル・ワシントン、SUKI・・・・。下唇がキュート・・・。
しかし、このボスはさらに大きな組織の下っ端に過ぎず、マッコールはやがてロシアン・マフィアに付け狙われるようになります・・・。
はあ〜、どうなるんでしょ。
しかし、観たらわかるのですが、そういった不安が長引かないのもこの映画のいいところ!!!・:*。・:*三( o•ᴗ•)o
文字通りの圧倒的強さ(賢さも含む)で突き進んでいきます。
相変わらず、一見するとしがないホムセン従業員のマッコールですが、その後も自分と関わっている人々が悪に困らされる度、正しいことを行い、必ず一度は「提案」をして改心するチャンスを与えつつ、拒否すれば冷酷なほど淡々と輩を矯正していきます。
つまり、ただ単に贖わせているのではなく、粛清は輩が選んだ結果としてのことなので、心置きなくスッキリできるのです。
にしても。
この街の腐敗具合はひどいですな・・・。
この街全体が、マフィアのための牧場って感じです。
警官含むすべての悪が、ひとつのマフィアに収束していく・・・。
逆に、よくあの少女に出会うまで、ブチギレずに平穏に過ごせたものです。
お前は一体何者なのか。
最初は舐めた態度だった輩たちが、やがて畏怖しながら口にするそのセリフ。
ふつうの来歴の人間ではないことはわかりますが、気になりますよね。
その正体は映画の中盤で、さりげなく語られるのですが、そのシーンもとってもいいです。
訪ねてきたマッコールを見る慈しみに溢れた目・・・。
言葉にしなくても理解してくれ、求めるものを与えてくれる存在。
それだけで、彼の「正しい道」がけっして孤独なだけのものではないと感じ取れるので、なにかほっこりするんですよね。
イコライザーの演出
映画のストーリーとしては、「勧善懲悪」と「圧倒的強さ」が見所ですが、アクションシーンやそこに入る前の演出も素晴らしいので、ゆっくり堪能してほしいポイントです。
マッコールの「仕事スイッチ」が入るときの瞳のアップとその描写が、臨場感を感じさせ、彼にその場がどのように見えているのかをとてもわかりやすく表現しています。
最終戦の時のその部分はあまりにスタイリッシュで美しく、痺れるほかありませんでした・・・。
また、「マッコール」という人物を個性あるものにする様々な小道具、些細な仕草にも注目すると楽しいです。
何よりも読書の習慣があるところは知的なムードを感じますし、他にもたとえば、ナプキンに包んで持っていく紅茶とそのやり方、銃創を何で治療するか、栄養指導やダイナーでのジャンクフードに関するセリフなど。そういえば、先のボスとの交渉でも、最初にさりげなくドクロをきちんと並べ直したのは、けっこう印象的でした。
映画の中で語られることはありませんが、こういうことから彼の性格を想像できて楽しいです。
イコライザー 感想まとめ
一見地味で正体不明のマッコールの戦いがどうなっていくのか、ぜひ映画を観て、爽快感を楽しんでください!
グレイではなく、「完璧な白」を「圧倒的な力」で躊躇なく遂行していくその姿に、日頃のモヤモヤが吹き飛んでいきます。案外大がかりで派手なこともたった一人でやってのける、そこに痺れる憧れる! 淡々と歩いて立ち去る姿もソー・ゴージャス・・・。
最後に。
私は「冒険野郎マクガイバー」というアメリカのテレビドラマ(元祖と言われる方)が好きなのですが、それに通じるトンチを感じるマッコールの戦いぶりもぜひ楽しんでください。
ホームセンターにある大工道具などを使って仕置きをする様は、マクガイバーほど科学的知識を用いたものではありませんが、「そこにあるものを使って臨機応変に対応する」ところに爽快感を感じます。
(でもあのハンマーをしれっと戻すのはどうなんだろうと思いましたが・・・。ぴっちりとビニールを巻いて使用したりしたんだとしても、なんかねえ・・・。たぶんマッコールはオカルト完全否定派なのでしょう∩^ω^∩)
Amazonでは評価数6,304件で星4.5のスーパー高評価作品です。
長さを感じさせない面白さ、観終わった時にはあなたもきっとデンゼルのファンになっていることでしょう。
日本語訳に関してですが、吹き替えの方が、英語のセリフを生かしていてクールなのでオススメです。たとえば、”You should have taken the money.“「受け取るべきだった」(吹替)と「拒否するから」(字幕)はニュアンスに大きな違いがありますよね。なんかダサい気がする。。
あとまあなんと言っても・・・大塚明夫さんですしね!!
デンゼルが何語を使って話してるのか、吹き替えでは区別がつかないのだけが残念ですが・・・∩^ω^∩
equolizerとは
ちなみにequalizerとは、直訳で平均化するものという意味ですが、そこから転じてa deadly weapon、特に銃を指すスラングで「老若男女の体格差、力の差を無意味にする武器」ということにもなるそうです。
特別映像の中で監督は「彼はすべての人が”イコール(公平)”であるべきだと考えている」と話しています。なので、監督のつけた意味合いとしては、公平にする人、ということかもしれません。でも、スラングの方もぴったりですよね。
マッコールの存在は、虐げられるだけの無力な人間の側に彼が立つことで、圧倒的な悪との間の力関係を平らにならすもの、あるいは、どれほど力がある相手でもそれを無意味にできる能力を持った武器、ということになるのでしょうか。。
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