加納梨衣・著『スローモーションをもう一度』
全7巻 小学館ビッグコミックス
感想・・・すっごく可愛いです!!!
このマンガを知った時にはもう3巻くらい出ていたのですが、新刊が出るたびに、続きが出るのをワクワクして待ってました。そんなふうに感じることは、おとなになってからあまりなかったなーって思います。
この物語は、「高校に入学して3ヶ月。楽しい高校生活を送っているように見える大滝には、秘密にしている趣味がある。クラスの誰も知るはずがない80年代の歌やアイドルが好き。誰とも共有できないと思い込んでいたけれど、同じクラスの目立たない女の子・薬師丸も同じ趣味だとわかって。。」みたいなお話です。
まずこの薬師丸ちゃんがすっごく可愛いです! ちょっとふっくらして、ふだんは髪で隠してるけどおめめぱっちり。ほんと可愛くて見飽きない造作してます。そしてシンプルに性格がいいです。言葉遣いもなんか好き。こんな女の子がいたら恋するしかないでしょう! 表紙も全部可愛いよっ♡
薬師丸ちゃんだったらいま流行ってる洋服もばっちり似合うだろうけど、このお手製の80年代風の服を着てる彼女には独特の魅力があります。こういう自分の好きなものに正直な子って素敵です。人に見せるためじゃないところもいいなと思います。髪型も、明菜ちゃんだったり由貴ちゃんだったり小百合ちゃんだったり、どれもすごく可愛い。
そんな感じで、読んでると大滝に乗り移ったかのように薬師丸ちゃんにきゅんとしてしまう。
これは隠さないといけない趣味だって思ってるから、いつもふたりだけで遊んで、いままで誰とも分かち合えなかった楽しい気持ちを味わう。薬師丸ちゃんの階段のない古い部屋はふたりのサンクチュアリなのです。
学校では話さないようにしているのもなんかときめきポイントだなーと思います。もどかしいのですが、ふたりの間に社会が入ってこないのなんて、学生時代だけかもとも思ったりして。。。『自分だけの』感がいいなーって。
でも、よりそう感じてたのは大滝かなと最初は思ってたのですが、実は薬師丸ちゃんの方がもっと強くそう思っていたことがわかるエピソードはとても印象的です。
そりゃそっか、と思いました。大滝は趣味を人に言えないだけで、それ以外はどちらかというと人気者。独占欲の強さは対人における自信のなさからくるんじゃないかと思うから。。
薬師丸ちゃんはほんとうにひとりぼっちだもんね。。。(関係性が変わってからは大滝にもうひと波あってキュンとしましたが…でもこっちは嫉妬心かな)
そういうのも含めた、ともだちと恋人のあいだを行き来する感じの甘酸っぱさがとってもピュア。恋愛のマンガや小説によくあるアンバランスなキャラがいないのも、安心して読めて好きなポイントです。ふたりの世界がどんどん広がっていろいろなことを経験していく、その過程でキャラといっしょになって想像したり考えたりわかったり、落ち着いてできます。
最後の方のエピソードでは思わず泣いてしまったりもしました。(あっ お父さんの”理由”では号泣しました…)
それから、80年代が好きっていうことが単なる味付けじゃないところもこのマンガの魅力です。
表紙や口絵のデザインはほんとうに80年代っぽくて可愛いです! なんとなくサンリオっぽいなあと思っていたら、サンリオのキャラグッズを薬師丸ちゃんが使っていました。サンリオは70年代の終わり頃から80年代にはもっと人気があったのかな、でもいまでも同じテイストで可愛いままで、もういい大人なのにいまだについ買ってしまう。。
グッズやおもちゃも集めている薬師丸ちゃんのまわりには、そんななんだか懐かしいような可愛いものがいっぱいで、それを見るのもすっごく楽しいです。
たしか姉が持っていた『ウォーターゲーム』(①巻に登場)はこれよりだいぶ小さかった気がするけど、見た瞬間思い出してとても懐かしかったです。あと鍵付きの日記帳(⑤巻)も、そういえばこんなのも姉が持ってた!と興奮しました。
今でも売ってるんでしょうか。。すこし欲しい。(この日記帳の薬師丸ちゃんの書き文字がまたそれっぽくてキュン)
終わってしまってすごくさみしいですけど、最終巻がほんとうに最高の最高で、終わりかたもこれ以上ないってくらいだったので、大満足です。なんどもなんども読み返して、かみしめています。
もしもこの感想を見てひとつでもひっかかるワードがあったら、ぜひ読んでみてほしいです。ほんとうに素敵な物語です。
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