人間関係に役立つ知恵🌄『聖なる予言』

2018-07-22小説

『聖なる予言』 角川書店

ジェームズ・レッドフィールド・著 山川紘矢+山川亜希子=訳

 

この本は1994年10月31日に日本での初版が刊行されました。

2018年のいまからは、24年ほど前です。私が持っているのは第4刷、11月30日発行分です。ひとつきで4刷。どれほどすごい勢いで売れていたのか、察することができます。この本が発行された頃、まだ日本ではそれほどこの手の精神世界の本、とりわけこんなふうに読みやすく書かれた本はあまりなかったようなので、霊性について日本での関心がちょうど高まり始めた頃だったのかもしれません。

訳者はシャーリー・マクレーンのベストセラー、『アウト・オン・ア・リム』を訳した山川紘矢さんと亜希子さんですが、この本を手にしたとき、私はまだ読んだことがありませんでした。

これは、私にとって初めての『スピリチュアル』を前面に押し出した本だったと思います。当時はニューエイジといっていたでしょうか。

私はものごころついたころから、生きる/死ぬとは、とか・・・まあ、そういったことばかり考えているようなこどもでした。

家庭環境も影響しているのかもしれません。両親はちょっとした臨死体験や不思議体験をこどもたちに語って聞かせ、大好きな兄はどこで聞き込んできたのか、地獄の話(特に、ある場合に木になって長い間立っていなければならない、という話が恐ろしかった)などをしてくれたものです。

といって、内気で家にこもりがちということもなく、学校の図書室で本を借りて読んではいましたが、毎日のようにきょうだいや友人と外に出て遊ぶこどもで、それゆえ悩み・・・というか考えることは他にありませんでした。こどもらしく喧嘩や仲間はずれはありましたが、いまとなってはすこし不思議なことに、当時の私にとってはそれらはあまり問題ではなかったのです。

私にとって、精神世界というのは繰り返し考えたり夢想したりする親しみのあるもので、もっとも知りたいと思うなにかワクワクすることがらでした。

ただ、同時に人間の集団というものいったい、特にあまりになにかを支持したり信じたりする人の集まりが得意ではないので、外からそれを研究させてもらうことはあっても、その中に入ることは終生無いだろうと思います。

そんなわけで(?)、ずいぶん前に手に入れてすでに読んでいたのですが最近読み返したので、記憶が新しいうちに感想を書いておきます。

 

 

マチュピチュ遺跡

 

<あらすじ>

人生に幻滅し、しばらく自分のための時間を持とうと湖畔の別荘に滞在している私の元に、昔の知人のシャーリーンから会いたいと電話が入る。彼女の話から得た直感に従ってペルーに飛んだ私は、様々な出来事に導かれ、人類の秘密を解き明かすという謎の古文書の写本をひとつずつ学ぶ冒険に身を投じる。

 

この小説はフィクションとのことです。

けれども、作者レッドフィールドのバックグラウンドを織り交ぜてまるでノンフィクションのようでもあり、こういった冒険の中にいる主人公の不安定さは、とても現実味があります。大体の場面で彼は懐疑的でよそよそしく人に接しますが、『ある条件』の元では、かなりオープンに見えます。

物語の中で主人公は、紀元前600年にアラム語(旧約聖書のほとんどの部分で使われている古い言語)で書かれ、ペルーの遺跡で発見されたという文書の9つの写しを探します。そこには人間同士の関係をこれまでにないやり方で捉え、どうすればより良く、心地よく生きていけるのか、深遠な知恵が順を追って記されているという。

読者は彼と一緒に、レッドフィールドが彼自身の自己探求の中で編み出した9つの知恵を学んでいきます。ペルーの当局がその文書の存在をもみ消そうとしていることもあり、物語は徐々に緊張感を帯びたものになり、ミステリー色も出てきます。主人公は何度となく安全なアメリカに帰りたいと思い口にも出しますが、けっきょくは写しを探し続け、驚愕のラストにたどり着くのです。

ここに書かれていることは、途中までは、文中にある通り、それほど新しい見方ではないと思います。いろいろな学問で、あるいは聖典などで語られてきたものです。でもそれを、そういうものに触れたことのないひとにもわかりやすく、生き生きと描いているので、今読んでも面白かったです。

この後に続編がいくつか出ているのですが、物語としての面白さはこれを超えるものはないと思います。なにしろ、いまだに手元に残しているのにも関わらず、1つのシーンしか記憶に残っていないので。。ただ、終わらせ方がなんとも気になるので、また時間を見つけて続編も読もうとは思っていますが。

レッドフィールドはこの本が処女作らしいのですが、漫画で言えば『めくり』がすごくうまい。章の終わりもその後がすごく気になって、キリが良くても読み進めるのをやめられない、と思ったのですが、続編を読ませようとする技術にも長けている。。。

冒険小説が好きな人、人間関係に悩んでいる人、不思議なできごと・共時性が好きな人におすすめの本です。文庫版もありますので、よかったら読んでみてください。

 

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自分のための備忘録

 

以前読んだときには、知識としてこれを理解することはできたけれど、体感的に納得することができなかったせいか、後半はあまり心に入ってこなかったし、記憶にも残っていなかった。なぜ体感的に納得できなかったかというと、そのころの私には人間関係の悩みがなかったし、人生と(というか自分自身と?)もまったくいい関係だった。私は不足感を感じていなかったし、日々はおおむね快適だった。

この本を読んだあとのかなりの期間、私はこういう本をたくさん読んだし、気づきもたくさん得た。友人に伝え、それがきっかけで自己実現した人もいた。

でも私自身は、おそらく仕事を変えてから、自分の人生(望むようなものとしての)からだんだん離れてしまったし、もはやシャイとかでもないくらい、特に不特定の人に接することが苦痛だと感じるようになってきた。頑張ればうまくできる、そのことが問題をより深刻にしてしまった。

だんだんと、自分は霊性に興味があって追い求めても、それをものにすることはできないんじゃないか、と感じはじめた。ダメだったし、無駄なんだとうっすらと失望して、なんとなく徐々にそういう本や情報から遠ざかってしまった。

そんな感覚が麻痺したような失意の中、数ヶ月前に決定的に身体が壊れて、症状としてはけっして深刻ではないのに痛みだけは激しいあの苦しみのおかげで、仕事を辞めることができた。そして新しくいろいろな人や考え方に出会い、なぜ自分が思い描いたように生きる方法を自分のものにできなかったのかを教わった。

いまになってこの本を読むと、いろいろ理解でき、納得できることがある。

159ページの主人公と、ある神父との会話が印象に残った。

神秘体験が知的な概念に過ぎなかった、というくだり。

これを目にして、うすうす感じていたことが事実のような気がした。たぶん私は、ここ数年のいろいろの嫌なことやらを、自分に経験させたかったのだろう。しなくてもよかった気がするけど、しなかったら、自分のビジョンを実現するのに足りない鍵を教われなかったかもしれないから、必要だったんだと思っておくしかない。いまとなったらこういう苦痛を伴わずになにかを悟ることは可能だと感じているが、何事も無事だった人生にドラマが何もなかったことがコンプレックスだった過去の私(事実はどうあれ、そう思い込んでいた)が、無意識に求めた苦行だったんだろう。こういう『贅沢な劣等感』のために曲がってしまったことがたくさんある。

とりあえず、この本の中にあるようなエネルギーを搾取し合うとかのネガティブな人間関係が、いまはリアルに感じられるので、何を言っているかよく想像して理解できる。また、高次の事柄に触れてそのリズムで生きたいと思っても、ドラマの中に生きている人に囲まれると簡単に力を失う、つまり俗に塗れるというか・・・そういうことが嫌な実感を伴って思い起こされる。そのときにどうすれば、どうしていればよかったのか、それが書いてあるから、ほんとうは苦しくなり始めたときに読み返すべきだったのかもしれないとも思う。でも、私はあそこにずっといたいとはけっして思っていなかったから、苦しみがあの痛みになってくれてそこを離れることができ、やはりこれでよかった。

ひとまわりして、私は問題のない自分の人生が好きだとわかったし、もう今後はドラマを求めて暗がりに落ち込むようなことはしない。ドラマというか、人に揉まれなければ人生の味を知ることはできない、みたいなことは、自分には合っていなかった、それは他人のやり方で、自分には人生を楽しんだり、ほかと共鳴するやり方が別にあるはずだと感じている。

これからまたのんびり探していきたい。こんなふうに、巡ってくるメッセージをちゃんと受け取りながら。