月刊誌だった頃、特集に興味があるときに買ってました。ほぼ毎月買ってる芸術新潮も御高いですし。。他にもいくつか同系統の雑誌があるので、選抜方式で買ってます。
それに積年のバックナンバーなんかも到底捨てられないので、重くて大きいものがかさばってる自室を考えると、なかなか。。我慢の日々です。
そんなこんなでいつのまにか奇数月発行になっていたんですね。
この号は、日本各所の素敵な場所と工芸品がたくさん載っているというのと、刀剣のページが面白そうなこと、刀剣の実物大ポスター4口分がつくということで予約購入しました。(刀剣乱舞パワーで買えないかと思って💦)
おなじ刀剣特集のBRUTUSの感想はこちらです。
和樂 8・9月号 小学館発行
<大特集>ニッポンを知る100の旅へ!
昭和の三大巨匠が見たニッポンの風景
このちょっとしたページがとても好きです。
入江泰吉、土門拳、木村伊兵衛という昭和を代表する写真家が2ページずつ取り上げられています。
写真については観に行ったり写真集を買ったりはするものの、まったく門外漢なので技術的なことなどがまったくわからないのですが、ここにある写真は、一目で『ふつうの写真』とあまりにもちがうと気づきます。
写真が芸術だということが、こんなにもはっきりわかる。
なにがちがうんでしょうか。。。もし写真について勉強すれば、わかるんでしょうか。
でもきっと、技術よりもほかのなにかがあるんだろうなという気もしています。
入江さんの今目の前にある記憶みたいな『歌姫街道』の懐かしさなんか見ているとそう思うのです。モノクロなのに、脳の中では目で見ている景色みたいに総天然色で、不思議です。このふたりとは知り合いのような気さえする。そしてモノクロもカラーも、なんだか画面がすごくクリアです。
土門さんが何気なくそこにあった風景を撮ったという緑の写真。その湿気やみずみずしい匂いは、いま現実に自分を取り巻いているような気がする。そしてやっぱり懐かしい。ときおり日本画にあるような衒いのなさがあってとても好きです。画面そのものも、単純に日本画を思わせる清新さがあるなあと思いました。
木村さんの写真はとても詩情にあふれているなあという印象です。ひとつのドラマのシーンみたいで、前後を想像させるような味わい深さがある。添えられている文章通り、切り取り方についてはいっそう気を使っていたんだなあ、とわかります。特に『川開き 蔵前』なんて、たまらない。。。この写真から太宰治とか志賀直哉とかに文章を書いて欲しい。すごく合いそう。
お三方とも、もっとたくさんの写真を見たい!と思いました。おさいふの紐が緩みます、、、
日本美術を巡る旅に出かけよう!
全国の寺社仏閣に遺された日本美術の秀作をめぐる、というコーナー。城崎、小布施などがとりあげられています。一度行ってみたい大乗寺も紹介されていました。
最近読み返した『城の崎にて』にあらためて感動したので、城崎文芸館というところはいいなあと思いました。
芸術新潮で特集されてからこれもまた自分の中で熱くなっている北斎が一時住んでいたという小布施もたくさんの足跡があるらしくて、行ってみたくなります。岩松院の八方睨みの『鳳凰図』とかすごく生命力を分けてもらえそう。『名物がコンパクトにまとまった』という一文にも惹かれます。
8つの見所が簡略にまとめられている2ページも楽しく読めました。どれもこれも、好きなものばかり。。。新発見という長谷川等伯のお猿さんとかぜったい見たい! 若冲、宗達、蘆雪、応挙。。。ううーー。。
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『木曾路で見つけた、これぞニッポンの原風景』というページ、とてもよかったです。工芸品が大好きなんですよね。。御弁当箱とお六櫛、ほっしーーーい。。木曾にはぜんぜんくわしくないので、はじめて見た『奈良井宿』とか、いいなあーーー行ってみたいなーーと、特集の狙い通りの思いが強まりました。
「買い物」風土記
角館の『イタヤ細工』の紹介記事。
かつて季刊誌『銀花』を定期購読していた私のようなものには嬉しい記事。竹が取れないからイタヤカエデで編んでいる、という。。。すごくほしい。このご夫婦の空気感も感じて、あと、先代のお話がなんかすごくよかったです。そこから勝手にひろがる空想が楽しかった。
このような、しっかりと作られていてずっと使える、あるいは使い込むほど味が出るような日常の道具って本当に魅力的。近くのデパートにもいらっしゃらないかなあ。。
次ページの【産地が生んだニッポンのいいもの12選】も楽しいです。特に水うちわと日除すだれ、銅製急須、江戸切子が欲しくなり苦しい。。。なんてきれいなんでしょう。。このようなものだけに囲まれて生きていきたいです。。。
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『奈良桜井へ!お礼参りの寺社すごろく旅』、このとおりにできたら2日ですごく満喫できるんですね。。ちょこちょこ、ポイントを押さえた名所めぐり(グルメあり!)が本当に楽しそう。春日大社のあたりは年末に行ったばかりなので、なのに、また行きたい!と思いました。蚊帳ふきんとかも知らなかったので、今度行った時に買いたいです。
豊かなり! ニッポンの食文化
山菜専門宿「出羽屋」さんの紹介。
ワラビは小学生の時に家族で毎年採りに行っていましたが、ほかの山菜はぜんぜんわからないので、カタクリの花の可愛さにびっくりしました。山菜のほろ苦さが好きな人にはたまらないお宿です。
山菜・・・。
次のページで、個人的にそれから連想される人が紹介されていて私の心はヒートアップしました!
大好きな、大好きな藤沢周平さんの記念館の紹介が!
ああ・・・。
もう新しいお話は読めないので、ずっと手持ちの本を読み返しているのですが、先日まで読んでいた『用心棒日月抄』シリーズのお家の懐かしい料理を食べるシーンで、山菜や、ほかの地方ではあまり食べられない魚の加工品などが出てきて、「美味しそうだよ・・・周平さん・・・」と思っていたのです。
こんなにも好きだけど、常の如くその周りに疎いために、当然あるだろう記念館のことは何一つ知らなかったので、ちらっとでも見られて嬉しいです。書斎を復元したコーナーがあるという。。。これは行かねばなりますまい。
出羽三山神社にも行ってみたい。。。
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『上野から御徒町へアメ横ヨコタテ タテ歩き』ではディープな上野が紹介されてます。この記事の最初の一文通り、上野といっても美術館あたりにしか行ったことがないので、興味深く読みました。『珈琲 王城』が素敵そう。
ニッポンを体感する個性派旅20
ほんとうに個性的な場所がたくさん取り上げられています。
懐かしい山口の瑠璃光寺、五重塔。本当に美しい建物です。「毛利家墓所」のところで手を叩いてはしゃいだことも何度か。。。(鶯張りの石畳、というそうです。とてもいい音がします)
実は瑠璃光寺には昼間に行ったことはありません。短い期間ですが住んでいたので、ありがたみがわかってなかったんですね。。いまだったらここにも行ったのに!っていう場所がたくさんあります。中原中也の記念館なんて歩いて10分だったのに一度も行かなかった。バカ!
でも五重塔の美しさは圧倒的だったので、文章を読む前に、ここに載っている写真をちらっと見ただけでわかりました。どなたも一度は見ておくべきものだと思います。
後ろの方に載っている五島列島は最近いろいろなメディアで取り上げられているので、最近特に行きたいなーと思っている場所です。長崎には何度も行ってますけど、島にはまだ伊王島(長崎市内からすぐ行ける)くらいしか行ったことがないので、ここにある教会など見てみたいです。
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『屋久島、リアルなトレッキング紀行』 屋久島も一度は行ってみたい場所です。縄文杉が見てみたい。しかし、観光客がすごく多いんじゃないかっていう印象。この記事で初めて知ったけど、その影響によるトイレの不便さがすごそう。。もうすこしおおらかにいろいろなことに接することができるまでは、近隣の地に生えている大木巡りで満足しようと思いました。。知らないで行くと必要以上にがっかりしてしまうかもなので、知れてよかったです。
十冊の本で巡る妄想日本一周旅行
このコーナー、すっごく面白くて気に入りました!
林芙美子、太宰治、柳田国男、永井荷風、白洲正子、織田作之助、壺井栄、小泉八雲、向田邦子、岡本太郎。
名前を聞くだけでわくわくします。行ったことのない場所がほとんどで、それぞれ独特の見方でその場所を見ていて、もうぜったいぜったいでかけたい!っていう気持ちになります。
・・・でも。
逆にいうと、その人の書いたその場所は、その人のこころの風景だから、行ってもそれと同じ場所にはたどり着けないかも知れないけれども。
尊敬している白洲正子さんの『かくれ里』はなかでも気をひかれる場所。添えられている写真がまた良いです。丹生都比売神社。すこし調べてみたくなりました。
岡本太郎さんの著作は読みたいなーとずっと思っているものの、なかなか縁がないです。なんとなく、偶然出会いたいんですよね。思った通り簡潔で力強い文章。。
地図付きの”おさらい”も楽しい。小泉八雲の本は近々取り寄せたいと思いました。
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『高知の清流と食、旅BOX』は、このごろ高知にもとても行きたいと思っているので、いっそう楽しく読めました。日曜市とか憧れ。。。牧野富太郎の植物園もあるんですね! ぜひ行きたい。ここで1日遊べると思います。。
あっぱれ、刀剣!
末兼俊彦さんのことばがとても楽しいです。
絵がいっぱいで、日本刀がよくわからないひとにも馴染みのある例えや言葉でいつのまにか理解が深まっていくような組み立てになっています。
最初のページでさっそく、『日本刀とは?』『名刀とは?』『本名とニックネームって?』『時代によって違う?』という刀を知っていこうとする時にあらかじめ抑えておくと理解が早い部分がわかりやすくまとめられています。改めてスッキリします。
続いて、日本刀の魅力を10の物語として綴っています。
刀の一大銘柄・備前、武士にとっての刀の存在意義、日本刀の美、研ぎ師の本阿弥家、拝領品としての刀、菊御作、骨喰の逸話、信長の自慢、歌舞伎と刀、新撰組の名刀。
どれもとても興味深い! 菊御作とはしゃぐ信長は特にそれについて書かれたものなど探したいと思いました。
なお。。。レクサスをカスタマイズしたゴージャスカー、グレート・カネヒラが見開きで褒められているのも嬉しく、日本刀の美しさで鯰尾が、そして逸話でばみちゃんが取り上げられているのには「仲良いな!!」とにこにこしたとうらぶファンです。。
そしてそして!
鐔が載っていたのも嬉しや〜〜〜〜🎊 とうらぶにハマる前には鐔のほうがより好きだったんです。。旅行先で同行者に呆れられながら小一時間鐔の展示によだれを垂らしていたんです。。
ここほんとうに美しいページ。。華麗な牡丹と孔雀もいいけど、茶釜の渋さも好き。。
鞘のページもあったらなあ・・・・・!! 三日月さんの鞘は本当に美しい。。(ところで柄はどんなものだったのでしょう。。美しいものだったに決まってますけど)
拵のページがあったらきっと歌仙ちゃんも載っていただろうに。。
『見たい名刀はここにある! 全国刀剣スポット大調査』というページでは二振りの刀以外はすべて刀剣男士として名が通っているものが写真付きで在所とともに掲載されています。
名物 三日月宗近、名物 にっかり青江、名刀 古今伝授の太刀(古今伝授行平)、名物 信濃藤四郎、名刀 明石国行、名物 包丁正宗。
『知らなかった!カタナ語トリビア』もへーっとなるものもあり、面白かったです。
『日本刀 専門用語の基礎知識』として刀の部位の名称、また業界用語も載っていて、楽しく知識を得られたという充実感がある特集でした。
付録の刀剣ポスターについて
実際に展示を見るときも、また展覧会などのレポートの写真でも、光り輝いてまばゆいばかりの日本刀。その刃文や打ちのけまでを照り返しを気にせずじっくり見ることができる実物大のポスター。
刀身だけでなく、柄や鐔、鞘の部分もあったらもっとほんとうに嬉しかった、と密かに思っています。。その場合は別のページでほしいなんてなおも贅沢を言ってみる。
名物 三日月宗近
名物中の名物、特別な存在である三日月宗近。両面がポスターの裏表に印刷されています。刀剣乱舞の三日月の戦闘服の色を背景にとても美しい姿です。とても大きな一振りであることが実物を見たことのない私に、実感としてわかりました。銘の部分もはっきり見えます。優美。
鬼切丸 別名髭切
源氏の宝刀、髭切も裏表ともに実物大で見ることができます。銘は最初、なにも切られてないのかと思ったけれど、ちゃんとなにか刻まれてます。国綱って書いてあるんでしょうね、きっと。。実物を見られたら、顔の角度を変えて光の反射で読み取りたい。。やっぱり実物を見るのが一番いいのでしょう。。謎めいている刀なので、実物はすごくなにか感じるものがありそう。
名物 骨喰藤四郎
龍が見事です。裏面も見たかった。。
意外と短い感じのばみちゃん。今までのじじいと兄者が長すぎたのかな。まっすぐで凄く切れそう、という印象。なにか、きちんとしている、というか。薙刀だった時はどんな感じだったのでしょう。再度焼き入れされたことも関係しているのか、静かな印象を受けました。
名物 へし切長谷部
変化のある刃文が素敵! 『シャープで凛々しい一口』とありますが、まさにそういう雰囲気があります。厚みがあるように見えます。”黒田筑前守”と銘が。毎年長谷部を見に行きたいと思いつつ、重い腰が上がらないのですが、平成最後の冬には必ず決行しようと考えております。
実物大の刀を見て、いつもの縮尺の姿では感じないことを感じました。
そしてゲームのキャラクターが、見た目も性格も、この刀身そのものを表しているなあと思って、軽い衝撃を覚えました。特にばみちゃんにそれを強く感じます。不思議・・・じゃないんでしょうね、きっと。
余談ですが、この記事はいますぐ参照できる「日本刀の美しさがわかる本」などでざっといろんな刀を見ながら書いていたんですが、小龍景光の刀身なんかもすごくとうらぶのキャラのイメージと重なる。なんかすごい。と静かに興奮しました。
かわいい土偶ワールド原寸大図鑑
きっとこころをこめて作ったんだろうな・・・と思える素朴で独特な造形が魅力の土偶のかわいさをフィーチャーした特集。見たことのあるものもちらほら。
土偶のフォルムは、いろいろなものがグローバルに共有されている現代ではなかなか思いつけないものかなと思います。こんなふうには物体を表現できない。体つきも、顔も。もしかしたらそのようにしか造形できずにそうした部分もあるのかもしれないけど、それにしても、と思うアバンギャルドな姿もあります。
でもそれでも、この純粋に生活のために作ったんじゃない(食器とかではない)土偶を見るとき、『いじらしさ』をまず感じて、きゅんとします。
縄文や弥生のひとは、土偶にどんな祈りを込めたんでしょう。
34ページに詳細が載っていますが、時代もですけど、地域によってもかたちがちがうのがほんとうに楽しいです。添えられた愛称もかわいらしい。
そのほかの連載などから
『イノリノカタチ第3回 神と紙の祭り』 彬子女王殿下のこういう文章が大好きなので、今回も楽しく拝読しました。今近くにすぐ出せる和樂のバックナンバーは2014年の6月号ですが、そこにも『長崎刺繍』についての記事が載っています。
今回は日本で唯一の紙祖神を祀る岡太神社と、大瀧児権現が前身の大瀧神社が合祀されている下宮を訪ねられたそうで、式年大祭の舞の様子が静かにやさしい眼差しで綴られています。
この神社に寄せるみんなの気持ちがしみじみと伝わってきました。
『日本美術とハイジュエリー 美しき奇跡の邂逅』はすごく良かったです。ハイジュエリーを見るのが大好きなんですよね。。Van Cleef&Arpels凄く好きです。蝶のモチーフすごく美しい。アントレ レ ドア リングのルビーのこっくり感とドリス バタフライ クリップのサファイアの知的なムード。ああ。。ああ。。。。ここに紹介されている鈴木其一の『蝶にひなげし図』ははじめて見ましたが洒脱で素敵。すごい色の取り合わせ。。
巻末に7月1日から11月30日までの全国の美術展から厳選したもののカレンダーがついています。なんと優待クーポン券までついている。えっっ憧れの足立美術館でも使えるのですか・・・! うわあ。。
全ページにいろんな情報が詰まっていました。じっくり読み込めて楽しい一冊です。
私はお高いお宿にいまのところあまり関心がない(あるけど懐が許さない)ので触れませんでしたが、そのような紹介も載っていたことを念のため書き添えておきます。。
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