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とうらぶ雑誌

BRUTUS 刀剣特集 感想

『和樂』にひきつづき、今秋開催の『京のかたな』展及び刀剣乱舞-ON LINE-と絡めた刀剣の特集号。全国で売り切れが続出し、もうじき増刷版が書店に並ぶそうです。

【刀剣特集★重版出来】好評ゆえに品薄でご迷惑をおかけしてます刀剣特集の増刷分は、9月19日に全国書店に届きます。せっせと刷ってますので、もう少しお待ちください!

BRUTUSのTwitter投稿(@BRUTUS_mag)より

オンラインでは予約できなかったのでダメかと思いましたが、地方での発売日に近所の書店に行くと、数冊ありました。買えてホッとしました。。『京のかたな』に行けないので、せめて紙面ででもたくさんの刀剣を見たかったのです。

目次を見てみると、126ページ中72ページが日本刀についての記事なので、ほんとうの『刀剣特集号』です。見応え十分…!! 買い逃した方は、今回こそぜひお手に取っていただきたいです。

おなじく刀剣の特集が素晴らしかった『和樂』はこちらで取り上げました。

BRUTUS 2018 9/15 マガジンハウス

特集 「わかる?楽しい!カッコいい‼︎ 刀剣」

まず最初に取り上げられているのは歌仙兼定です。

和樂でも楽しいことばで刀剣を紹介してくださっていた末兼俊彦さんが、手に持ってらっしゃいます。。いいなあ。。歌仙兼定は大変姿が美しい(雅、といいましょうか)刀なので、資格がないと無理でしょうけど、触れて鑑賞できることがほんとうに羨ましいです。

でも、紙面にかなり大きな写真が載っているので、<歌仙拵>のあのしろい星のような粒が、とてもよく見えます。鞘だけでなく柄の様子も美しい。鍔だけは角度の問題でよく見えないのですが、ほかの資料で見たことがあるので問題なしです。上段には刀身の写真があり、まっすぐに滑らかに感じます。実際に見てみたいものです。

続けて末兼さんの刀剣Q&A。『和樂』と質問が被っている部分もあるのですが、回答の方向性がまったく違うので、それぞれ楽しめると思います。Q6が興味深かったです。

「刀剣は『歴史』が面白い。……物語る刀剣たち。」

後藤藤四郎菊御作桑名江和泉守国貞川内守国助宮本包則長刀二ツ銘則宗隅谷正峯が取り上げられています。いずれも『京のかたな』に展示がある刀です。

刀の目利きとはなにかを考えさせる後藤藤四郎、院の思いが感じられる菊御作、磨り上げ文化について興味が湧く桑名江、刀工たちの人生が気になってくる和泉守国貞と川内守国助、比較的新しく小鍛冶伝説にあやかったという宮本包則、神品のため今回初めて調査されたという長刀、来歴に興味がわきすぎる二ツ銘則宗、昭和の『刀剣作家』作の隅谷正峯。

どれもこれも、個別に調べることが可能なら調べたい、おもしろうそうな刀剣ばかりです。

最後のページに『光徳刀絵図(こうとくかたなえず)』という重要文化財の巻物の記事があるのですが、これはぜひとも見てみたかった…、と無念に感じます。このような「刀絵図」に関して新しい発見もあったとかで、それは『京のかたな』展開幕時に発表されるそう。絵図の写真が添えられています。この刀が何か書かれていないのですが、特徴からばみちゃん(骨喰)かなと思いました。この絵図に載っているのは、鯰尾とともに、焼け身になる前の姿だそうです。展覧会では巻子全体が展示されるそうなので、絵ではありますが、今の姿とともに鑑賞できる絶好の機会なんですね。(ああーー行きたかった…)

古今伝授の太刀を使った、刀の各部の名称を説明したページもあります。これはあやふやにこのへんかなーと思っていた知識を確かにするのに役立ちます。『和樂』にも同じようなページがありましたが、あちらは刀身の専門用語に特化してあり、こちらは拵えのほうも添え書きがあるので、鐺(こじり)なんていう部分も載っています。

続く『「鉄」に表れる個性と美。』というページも面白かったです。鉄の美しさの味わい方、刃文と地鉄の種類など、もっともっとたくさん知りたいと思う内容でした。

例えば地鉄なら「地色青く紫の心底あり」、刃文なら「笹の葉に積もった雪のむら消え」などと古来言われる、鉄だけに表れる美しさ

本文より引用

とあるのですが、その詩的でいて的確な表現がとても気に入りました。どんな書物にそういう表現が用いられているのでしょうか。。もっと『鑑賞のことば』を知りたいと思いました。あと、鑑賞方法のオススメの姿勢の名前がおもしろかったです。たしかに自分も、刀を見るときそうしているなあ、と思って。

刀剣の種類について、イラストでまとめたページも見応えがあります。日本の歴史の中で刀がどのように形を変えてきたのかという流れとそれぞれの特徴がまとめられていて、短いけれどけっこう読み応えがあります。こういう場合になかなか思いつかない『剣』の注釈もあるのが良かったです。

「刀剣は『伝承』が面白い。……嘘か真か、摩訶不思議な刀剣奇譚。」

ここでは刀剣にまつわる伝承が紹介されています。波游ぎ兼光蜻蛉切雷切丸へし切長谷部骨喰藤四郎、髭切・鬼切丸、ニッカリ青江、蛍丸、姫鶴一文字、ほかにすこしだけ鬼丸国綱燭台切光忠、童子切安綱、抜丸のエピソードも取り上げられています。やはりこういう逸話の残る刀剣はより魅力的に感じますね…。(あんなにも美しい刀である大包平が人の身体を得ていじける気持ち、わかる気がします)

Book in Book 『刀剣乱舞』で巡る『京のかたな』展

この部分が購入しようと思ったきっかけでした。『京のかたな』展に展示される『刀剣乱舞』に出てくる刀たちの紹介と、新規描き下ろしイラストが掲載された綴じ込み小冊子のようなもの。京都国立博物館の門前に刀剣男士が集結しているような表紙も素敵です。

中身は展示される刀剣&刀剣男士のカタログと、それぞれの刀の展示場所、展示される期間などが地図で示されているガイド、そして描き下ろしイラストです。

刀剣男士で展示されるのは以下の刀です。三日月宗近、石切丸、鳴狐、後藤藤四郎、骨喰藤四郎、秋田藤四郎、前田藤四郎、博多藤四郎、信濃藤四郎、鯰尾藤四郎、五虎退、毛利藤四郎、明石国行、謙信景光、次郎太刀、同田貫正国、へし切長谷部、千子村正、歌仙兼定、陸奥守吉行、髭切、膝丸、宗三左文字。カタログには男士のイラストと刀身の写真、名前、刻銘など諸々の詳細と来歴、展示期間も合わせて記載されています。

ガイドには展示場所と展示構成がかなりくわしく載っていて、たぶんたくさんの人で混み合うことでしょうから、せめて絶対に見たい刀だけでもがんばって見ようとするときに、向かうべき場所のヒントになりそうです。「ここかー」なんて想像すると、無理してでも行ってしまいたい衝動がむくむくと湧き上がって危険です。ニトロプラスの所蔵する短刀、銘国光、銘慶長九年十一月吉日信濃守国広/依加茂祝重邦所望打之、銘粟田口一竿子忠綱 彫同作/宝永六年八月吉日、銘舞子有栖川宮庭前卍正次謹作/明治二十五年吉日の写真も見ることができます。

『京のかたな』展の構想は2013年に立ち上がったそうです。刀剣研究の界隈の当時の状況と開催を決めた覚悟、それからゲームのファンへのほのかな期待なども綴られていて興味深く読みました。

展示が通期、前期、後期と分かれているので、近くにお住いの方が実に羨ましい…!! これを見て、行くとしたら後期かな…なんて夢が膨らんでほんとに危険。きっと図録がありますよね? ぜひ通販していただきたい。せめて。。

描き下ろしイラストはすべて刀剣乱舞-本丸通信-【公式】のTwitter(@tkrb_ht)で見ることができます。でもやっぱり、紙に印刷されたものが欲しいのですよ。。この紙の質、切り取って飾ることもできそうです。

続くページでは注目の刀剣展の紹介もあり、大阪と京都のものは、同時に足を運ぶこともできるかも…という空想にふけってしまいます。危険。

石切劔箭神社では高橋英則さんの音声ガイドがあったり、スタンプラリーがあったりと楽しそうです。神社のTwitter(@ishikirishrine)によると、そのアプリは9月15日から世界配信されるとのことですが…、世界…? 行かずして聴けるものなのでしょうか。そうだとしたらぜひ手に入れたいです。

『京のかたな』展で見ることのできる絵画の紹介のページもあります。3点紹介がありますが、「祇園祭礼図屏風」はかなり迫力がありそう。もし京都の地理に明るければ、かなり忠実に描かれているらしいのでより楽しめるのでしょう。展示は右隻と左隻で前期と後期に分かれるそうなので、少し残念。「阿国歌舞伎図屏風」と「平治物語絵巻」は歴史の資料などでよく目にするもの。ほんものを見られるのは素晴らしいです。特に「平治物語絵巻」は見てみたい。11月13日から25日の展示で巻替えもあり、とのこと。…後期じゃないですか。無理して行きたくなるやめて。

刀剣は「流派」が面白い。……刀匠選挙!あなたなら誰に刀を作ってもらう?

これも面白い記事でした。三条宗近、伯耆安綱、長船長光、手掻包永、相州正宗、関兼定、埋忠明寿、長曽祢虎徹といった一流刀匠の紹介があります。それぞれ順にその作として名物三日月宗近、名物童子切安綱、名物大般若長光、銘包永、名物観世政宗、銘藤原利隆作(花押)/関住兼定同作、銘山城国西新住人埋忠明寿(花押)、銘長曽祢虎徹入道興里の写真と説明もあります。

それぞれよくて、誰か一人にだけ、となると誰に打ってもらうか非常に悩ましい。埋忠明寿か関兼定(ノサダ)かなあ。。埋忠明寿は刀に関わるあらゆることをやっていたのと、販売目的でないから自由に発想した、というところがいいと思うので。ノサダは代表作として載っているこの刀の刃文が素敵だから。…まあ、正直にいうと、みんなに一口ずつ頼みたいですよね。。。

 

全ページにかなりみっちりとちいさい文字があり(8pxくらい)、写真やイラストも豊富で、初めて知る内容もあり、かなり濃い内容でした。大満足です。680円はかなり安い。この方向で記事を増やし、ムックにでもなったらすごく嬉しい! ますます刀のことを知りたくなり、好きになる特集でした。

 

 

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