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マンガ

CLAMP アニメ 【こばと。】感想

CLAMP作品のアニメです。原作として『こばと。』と『Wish』が併記されているのですが、実は私、CLAMP作品を読んだことがないのでなぜなのかわかっていません。。(全話を観てからレビューを読んだところによると、同じ世界観のストーリーらしいです)


▶︎▶︎「こばと。」

こばと。

傷ついた心を癒す少女

<あらすじ>  度を越した世間知らずの少女・小鳩。”行きたい場所へ行く”願いを叶えるために、ぬいぐるみの『いおりょぎさん』といっしょに、ちいさな瓶にちいさな『金平糖』を集めている。『金平糖』と呼んでいるそれは、ほんとうは、傷ついた人間のこころが小鳩によって癒された時に瓶の中にたまるもの。4つの季節が巡る間にそれをいっぱいにしなければ、小鳩の願いは叶わない…しかも、それだけじゃなくて……。

小鳩はとにかくとっても可愛いです! 髪がうんと長くて、くりっとした大きな瞳、華奢な体、お洋服も乙女チックです。

…なんか、すごくひさしぶりに、自分が子供のころに読んでいたような少女漫画に再会した気分でした…。やさしくてふわふわして、甘い砂糖菓子みたいな世界。芯から善良なことが当たり前の世界。誰も彼も…。

傷ついた人を癒そうとする物語ではあるのですが、その『傷』も、いじけてねじれてしまうようなものは藤本くんだけで(すまない)、他の人は傷ついていてさえもまっすぐで人に対しては優しく、努力じゃなくふつうに、自然に思いやりを持っていて。

それを感じる度に号泣してしまった私は、現代社会にかなり疲れてしまっているのかもしれませんね…w

小鳩はただまっすぐに、人を癒そうと頑張ります。最初は『金平糖がほしい』だったかもしれないけど、途中からはそういうことは忘れて、ただ悲しい顔を見たくない、そういうのはさみしい、とかの理由で行動して、結果的に癒していた、というふうになっていたような気がします。

最終的には、集めることを意識的にやめてしまいましたしね…。

小鳩のあのたくさんの無私のおこないは、創作の中でさえもガツガツとした存在がほとんど必ずあるいまの社会の中で、まぶしすぎて、素敵過ぎて。。。

そういう聖人君子のようなキャラが出てくると冷水を浴びたような気分になることが多いのですが、この作品は、それがありませんでした。

こんな人はいない、こんなことはありえない。そんなふうに否定する気持ちは湧いてきませんでした。

観ている間、それはなぜだろうと、ときどき考えていました。もちろん、これが現実的だと思っていたわけではありませんけれども。。

無垢なすなおさ

でも、回を重ねて見ていくうちに、なんとなくそれがなぜなのか、わかったような気がしました。

第3話『…雨の贈りもの。』で、むつみちゃんを思ってのことですが、小鳩は桂木くんに「むつみさんとも相合傘をしてください…!」と頼みに行ってしまいます。通りがかったむつみちゃんはそれを聞いて…、怒ってしまうんじゃないかと思いました。でも、照れてごまかそうとはしますが、小鳩のしたことを怒ったりしませんでした。

今の物語だったら多分、ほとんどのキャラクターは「余計なことしないで!」と怒鳴ったりするんじゃないでしょうか。あるいはそれまでの不安や悲しみまでも小鳩への怒りに転化させて、意地悪く拗ねるんじゃないでしょうか。。そして嫌がらせをしてきたり。。

このアニメは2009年からはじまったもので、原作の『こばと。』は2005年が初出だったようです。今から13年前でも、やっぱり余計なことをするなと怒る人の方が多かったと思います。

けれども、いまとなっては子供向けの物語の中でさえも見つけることは難しいと思えるこのむつみちゃんのすなおさが、私にはとても素敵だと思えました。

この作品世界独特のこういうすなおさやそれによる純粋な思いやりは、ほんとうにいろんなところで感じ取ることができます。

まりなちゃんの四つ葉とか、ねこをもらいにきたおばあさんが持っていた洗面器の中身とか、おさななじみの女の子たちの仲直りの爽やかさとか、家出少年のおじいさんの迎えにきてからの対応の順序とか。。。

堂本くんについてはあまりにいい人すぎて、特にクリスマスのエピソードでは、彼があまりにも強い心を持っていることに打たれて泣いてしまいました。

一方で保育園の抱える問題はなかなかシビアで夢のような(嘘っぽい)解決もないのですが、そのためにねじまがった意地悪い人が出てくるわけでもなく。

この物語の世界はとにかく無垢という言葉がぴったりです。

だから、小鳩があのままで生きていても無理のない世界だと思えたのかもしれません。

もしかしたら小鳩が見ている世界だからこうなのかもしれないけれども、かけねなしの思いやりが曲解されることもない健やかな環境で、不器用ながらも頑張る小鳩は、きちんとそこに馴染んでいると思えます。

こばとの謎

小鳩があんなに世間知らずで良くも悪くも純粋なのには、ちゃんとした理由があります。

アニメの中ではさらっとした描写ですが、私は1話からずっと小鳩がものを食べないことになんとなく気づいていました。

はじめは演出上そういうシーンは入れてないのかとも思いましたが、3話でもらったお菓子をいおりょぎさんが食べてしまっているのを見て、はっきりと『もしかしたら小鳩はものを食べないのかもしれない(だからお金はそれほど必要なくて、こういう生活でもいいのかもしれない)』と思ったのです。

それは21話で小鳩自身が言っていますが、それについては「こんなときに、それはそうよね…」みたいに同情されて、その後も深く掘り下げられていません。

小鳩がものを食べない、つまりふつうの存在ではないことは、ちょっとずつ語られて、最後にほんのりわかります。とはいえ、登場シーンで空から降り立ったような小鳩が、そもそもふつうの女の子なわけはないのですが…。

”ほんのり”と言いましたが、アニメの中ではそれほどくわしく身の上は語られていません。もしかしたらCLAMP作品にまったく触れたことがないせいで『法則』がわからないとか、クロスオーバーで出てくるキャラクターの意味がわかってないからとかなのかもしれませんが。

たとえばなぜビンをいっぱいにしたら願いが叶うという取り決めなのかや、いおりょぎさんとの関係(なぜ彼が見届け役なのかなど)もわかりませんし、小鳩の願いの内容「好きな人のそばにいる」の「好きな人」とはどういう関係の誰なのか、などなど、謎は多いです。

けれども、物語がうまく進まないほどのことではないし、もともとの「好きな人」の描写もほんのすこしあるので、アニメを楽しく見ることはできます。

…私は気になったので鑑賞後にうぃきを見てしまいましたが(●´◒`●)

特に気に入っているところ

絵が綺麗

私は普段ほとんどテレビアニメを見ないのですが、それでも話題になったものや、好きだった作品がアニメになると一応1話くらいは見ていますし、最近はこのamazon primeで気になったものを見る機会も増えてきました。でも、そのとき、色使いや作画に対して残念に思うことが以前よりも増えてきたような気がします。

けれども、この『こばと。』は複雑な絵柄がうまくアニメの動く絵になっていて、可愛くてかっこよくて、画面がとても綺麗です。

オープニングのアニメーションはだいたいどのアニメでもごく綺麗に作られていますが、この作品のものは小鳩の長い髪が風に揺れている描写がとてもなめらかで綺麗ですし、顔が可愛らしくてとても好きです。

エンディングも最初はビンがくるくる回っているもの、あとからは原画を使ったものになりましたが、すごく丁寧に作られているなあと思いました。文字がビンの表面に合わせて湾曲しているのがこまかくて…。

本編の絵では、とにかくキャラクターの顔がとても丁寧に描かれているのが良かったです。少女漫画の絵柄はアニメにするとちょっとかなしいことになりがちかなと思っているので、これはきっとファンの人にも嬉しかっただろうなと思います。クリスマスの堂本くんの心象風景の絵など、とても綺麗で印象に残っています。

動きの点でも、カバンをかけた小鳩が髪をはらいのけたりくるっとまわる仕草など、自然で可愛らしかったです。花びらが散っているのも全部手描きだったんじゃないかなあと思うと、すごいクオリティです。

好きな声

声質にはこだわりがあるのですが、個人に固執しているのは津嘉山正種さんくらいで、声優さんにはくわしくありません。

ゲームを通してだんだんお名前も覚えるようになってきましたが、別の作品で気がつくことは今でもあんまり多くはありません。好きなキャラを演じていることが多い+節回しが個性的で好きな三木眞一郎さんはすぐわかるのですが!(今回も沖浦さん素敵でした)

そんななか、最近、「これは…彼では…?」とわかるようになった方がいらっしゃいます。それは、前野智昭さんです。

山姥切、白血球、関さん、の前野さんです(私にとって)。杉本くんの声を聞いて、「ついに私は前野さんがわかるようになった…」と確信し、エンドロールで確認して感動したものです。。

小鳩を演じた花澤香菜さんの声もとっても可愛らしいし、小鳩のひたむきさがとても伝わってくる表情豊かな演技でした。

他にも福山潤さん、浪川大輔さん、神谷浩史さん、成田剣さんなど、いつも好きだなと思う声の方がたくさんご出演されてます。

オープニングもエンディングも歌がとっても良かったのも印象的でした。坂本真綾さんと中島愛さん。真綾さんはずいぶん前にアルバムを気に入ってずっと聞いていた時期がありました。中島さんの歌声は優しくて綺麗で、このアニメの終わりに聞くのにとてもぴったりでした。

挿入歌というか、劇中でよく小鳩が歌っている歌もすごく良かったです。買おうかなと思うほど気に入りました。「あした来る日」という曲だそうです。”歌がすごくうまい”という設定の小鳩ですが、私には花澤さんの歌声が少したどたどしく聞こえて、それがかえって素敵なのでした(●´◒`●)

特に良かったエピソード

この『こばと。』を見ながらかなり泣いてしまったのですが、特に好きだったのは13話の『…天使と守り人。』です。

イチョウの木が優しすぎて、やるせない気分になりました。どちらにしても、遠からず…ということが最後にわかりますが、それさえもイチョウの「自分を守ろうとした人への思いやり」だったんじゃないかと思えて。。

木のそばにいると、こういうただひたすら優しい気配を感じることもあります。だから、これがたんなる作り事だと思えずになんとなくいろいろと考えてしまいましたが、それもイチョウ(自然)の思いやりが包んでくれる、とてもいいお話だと思います。

ほんとうにこの物語は、小鳩という少女の魅力がすべてを輝かせていますよね。。

私が一番好きだと思ったのは、それはかなしい、それはいけない、と感じたら、まず相手に直接話してみる勇気があるところです。最初に書いた通り、これはすこし現実的ではないかもしれないけれど、そんな気持ちを持って生きることはとてもたいせつなんじゃないかと思っているからです。

ものごとをこどもみたいにとらえて反応する小鳩。

そんな小鳩が『この物語の中で唯一ほんとうに傷ついている』杉本くんに惹かれるのが興味深かったです。

最後の方はツンツンするばかりの杉本くんだったのだけがすこし残念で、途中にもう少しふたりの…特に彼の気持ちが感じられる部分があれば良かったなあと思いますが、最後の方のなんとなく部屋を空けておいて欲しいと思ったり、あせって存在を確認したりする様子で推し量ることはできるので、ラストはとっても感動しました。大好きだった少女漫画っぽい、とってもロマンチックで優しいものでした。枝の上のいおりょぎさんにも涙…。

なんだか疲れたなーって時に観たい、そんな作品です。

原作をデジタルコミックで集めようと思っています。

イラスト集ではその後のストーリーも読めるらしい? 可愛い絵がいっぱいで欲しい…。

こばと。イラスト&メモリーズ(中古のみ)

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